2024年8月5日
米国経済、後退の兆しか

米国経済、後退の兆しか
ここ最近、ハイテク株が大きく値下がりしています。さらに先週、米国雇用統計が発表され、アメリカの景気不安のムードが一気に漂うことになりました。(2024年8月5日付)
先週の決算結果
先週決算発表のあった注目企業の決算結果をまとめました。アナリストの予想を上回ればビート、下回ればミスとなります!
上から、Apple ($AAPL)、Amazon($AMZN)、Meta($META)、Intel($INTC)となります。

🇺🇸米国経済、後退の兆しか

ここ最近、ハイテク株が大きく値下がりしています。これはいくつもの要因が複合的に絡み合い、この下落が起こっています。そして先週、米国雇用統計が発表され、アメリカの景気不安のムードが一気に漂うことになりました。今週は、最近続いている米国の景気不安の原因について見ていきましょう。
米国経済指標の不調
まず、現在は米国の経済指標が悪化し、投資家の間では景気後退への懸念が高まっています。
先週発表された7月の米国の雇用統計では、非農業部門の就業者数は前月比11.4万人増と、市場予想の17.5万人増を大きく下回り、失業率は4.3%と市場予想(4.1%)を超え、2021年10月(4.5%)以来の高さとなりました。 平均時給の伸び率も6月から低下しており、労働市場の弱体化が懸念されています。 さらに、7月の米新規失業保険申請件数は、ほぼ1年ぶりの水準に増加しました。
失業率は上がり、労働市場は堅調とは言えないようです。この労働市場の弱さが示唆されたことから、FRBが金融緩和に転じるだろうという見方が広がりました。また、製造業の景況感を示すISM製造業景況指数は、7月は8ヶ月ぶりの大幅な縮小となりました。 これは、過去8ヶ月で最大の活動縮小を示しています。 製造業の不振は、ハイテク産業を含む幅広い業界のサプライチェーンにも影響を及ぼし、業績悪化の懸念を高めているようです。
これらの経済指標の悪化は、投資家の間で「アメリカ経済は今後、景気後退に陥るのではないか?」という懸念を広げています。 特に、失業率は「サーム・ルール」と呼ばれる、過去半世紀において景気後退を100%の確率で予測してきた指標が示す危険領域に近づいています。
ハイテク株の下落へ📉
このような状況を受け、株式市場ではリスクオフの動きが強まり、ハイテク株を中心に売りが加速しています。 S&P500種株価指数は7月半ばの史上最高値から5%を超える下落となり、3か月半ぶりの3週続落となりました。 ナスダック100指数は、2020年5月以来の大幅な下落を記録しています。今月1日発表の米Amazonや米半導体大手インテルの業績予想が期待外れの結果だったことなども影響していると見られています。さらに、1日の米国株式市場で、主要半導体関連銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)もコロナ禍以来の大幅急落をするなど、半導体関連銘柄も不調が続いています。

景気後退懸念の高まりから、投資家はリスクの高いとされるハイテク株を敬遠し、より安全性の高い資産、例えば高配当株や公益事業株、不動産株などに資金をシフトさせています。
ブルームバーグのデータによると、8月第1週には、不動産と公益セクターの米上場投資信託(ETF)への資金流入が約10億ドルに達した一方、ハイテク株ETFへの資金流入は約3億ドルにとどまりました。
また、安全資産とされる米国債に資金が流入し、長期金利(10年物米国債利回り)は3.796%と、約7か月ぶりの低水準となりました。しかし、今回の長期金利低下は、経済悪化不安が理由であるため、必ずしも株式市場にとってプラス材料とはいえません。
🇯🇵日銀の利上げから円高、🇺🇸米国の景気不安も重なり、歴史的な暴落に
米国の景気不安は、日本も影響を与えているようです。本日5日、今年1月以来の水準まで円高は進み、一時1ドル=142円となりました。さらに、日経平均株価は先週末比4451円安となり、1987年のブラックマンデーを超える過去最大の下げ幅となりました。
先月31日に日本銀行は15年ぶりに金利を引き上げ、同時に大規模な債券購入の縮小計画を発表しました。

この金利引き上げの影響により、キャリートレードの逆転が起きています。キャリートレードとは、低金利の通貨(例えば日本円)で借り入れを行い、高リターンの資産に投資する取引のことです。日本の金利が低い間、投資家は日本円で借り入れを行い、米ドルなどの高リスク資産に投資していました。しかし、金利引き上げにより日本円の借り入れコストが上昇し、この取引が逆転しています。これを簡単にまとめると、以下のような流れで円高が起こっています。
- リスク資産の売却:金利引き上げにより、日本円での借り入れが高コストになり、投資家はリスク資産(例えば米ドル建ての資産)を売却して日本円を購入し、借り入れを返済します。
- 円への買い圧力:リスクのある資産の売却で得た資金で日本円を購入するため、円の需要が高まり、円高が進行します。これにより、米ドルと円の為替レートが急激に変動します。
- 円の価値が上昇:円の価値が上がり、米ドルに対して円高が進むことになります。これは、リスク資産が売却される度にさらに円の需要を高め、悪循環を引き起こす「デススパイラル」となっています。
また、金利の急激な変動は、レバレッジを利用したポジションの強制清算を引き起こします。レバレッジポジションとは、借り入れを利用して資産を購入する取引のことです。レバレッジを利用している投資家は、借り入れを使って資産を購入しています。金利の上昇により、これらのレバレッジポジションを維持するコストが増加します。そして金利が急激に上昇すると、これらのポジションが維持できなくなり、強制的に売却されます(強制清算)。これにより、さらに多くのリスク資産が市場に放出され、さらなるリスク資産の価格下落を引き起こします。つまり、円に対して買い圧力がある一方で、リスク資産には売り圧力もかかっています。
今後のアメリカ経済の先行きは、依然として不透明感が強く、投資家の間でも全く予想がつかない状況だと報じられています。来月の8月雇用統計などの経済指標にさらなる注目が集まることになりそうです。
参照:
・ロイター;米半導体指数がコロナ禍以来の大幅急落、アームの慎重見通し影響
・米国株に激震 S&P500急落 雇用統計で経済見通し不安深刻化
・【米国市況】株は急落し国債が急伸、雇用統計控え-ドルは149円台後半
#今週の決算スケジュール (2024.8.5〜)
今週も多くの企業が決算を発表してする予定です
今週の注目企業には、テック関連では、ウーバーやAirBnBなど、エンタメ業界では、ディズニーなどが決算を発表予定です!!
