2026年7月1日
米国株を持っていると確定申告は要るのか|入門の判断
米国株への投資を始めたばかりの方が、最初に戸惑うのが「税金」の話です。「利益が出たら確定申告しないといけないの?」「配当金はどう扱われるの?」という疑問は、多くの投資初心者が感じるものです。
この記事では、米国株の税金の基礎を整理し、確定申告が必要かどうかを一般論として分岐して解説します。口座の種類や所得の状況によって判断が変わるため、まず全体像を把握することが大切です。
この記事のポイント
- 特定口座(源泉徴収あり)を選べば、原則として確定申告は不要
- 米国株の配当金には「二重課税」が生じるため、外国税額控除を活用したい場合は確定申告が必要
- NISA口座の譲渡益・配当金は非課税だが、米国側の外国税(10%)は取り戻せない
米国株の取引にかかる税金の種類を解説
米国株の取引では、大きく2種類の税金が発生します。「譲渡益課税」と「配当課税」です。
譲渡益課税は、株式を売却して利益が出たときにかかる税金です。上場株式等の譲渡益は、申告分離課税の対象となります。
配当課税は、保有している株式から配当金を受け取ったときにかかる税金です。米国株の場合は、米国と日本の両方で課税される「二重課税」の構造になっています。
どちらも税率は20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)が基本です(出典:国税庁 タックスアンサー No.1331、令和6年4月1日現在法令等)。
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特定口座(源泉徴収あり)なら確定申告は原則不要
投資初心者の方が最初に知っておくべき重要な情報が、「特定口座(源泉徴収あり)」の仕組みです。
特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、証券会社が上場株式等の譲渡所得等に対して15.315%(所得税・復興特別所得税)+住民税5%を源泉徴収して納税を代行します。そのため、その口座内の所得については原則として確定申告は不要です(出典:国税庁 タックスアンサー No.1476「特定口座制度」、令和6年4月1日現在法令等)。
つまり、米国株で売却益が出ても、特定口座(源泉徴収あり)を選んでいれば、基本的には証券会社が税金の計算と納付を代行してくれます。
投資を始めたばかりの方にとって、確定申告の手続きは大きなハードルです。口座開設時に「特定口座(源泉徴収あり)」を選択することで、その負担を大きく減らせます。
なお、Woodstockは特定口座(源泉徴収あり・なし選択可)に対応しており、米国株・ETFを0.0001株単位・200円から取引できます。源泉徴収ありを選んでおけば、少額の取引であっても税金の計算と納付は証券会社側で完結します。お取引の詳細は公式サイトでご確認ください。
給与所得者が確定申告を要するかどうかの判断基準
給与所得者の場合、株式投資の利益に関して確定申告が必要かどうかは、口座の種類と所得金額によって変わります。
1か所から給与を受け、年収2,000万円以下の給与所得者は、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が年間20万円以下であれば所得税の確定申告は不要です(出典:国税庁「令和7年分 確定申告特集:申告が必要かなどを調べる」)。
ただし、特定口座(源泉徴収あり)内の上場株式等の譲渡所得で「申告不要」を選択したものは、この20万円の計算には含まれません。
以下の表で、口座の種類ごとの申告要否を整理します。
口座の種類 | 確定申告の要否(譲渡益) | 確定申告の要否(配当金) |
特定口座(源泉徴収あり) | 原則不要 | 原則不要(確定申告不要制度を選択) |
特定口座(源泉徴収なし) | 原則必要(年間20万円超の場合) | 原則必要(年間20万円超の場合) |
一般口座 | 原則必要(年間20万円超の場合) | 原則必要(年間20万円超の場合) |
NISA口座 | 不要(非課税) | 不要(日本側は非課税) |
米国株の配当金にかかる二重課税の仕組み
米国株の配当金には、独特の課税構造があります。日本の株式と異なり、受け取る前に米国でも税金が引かれます。
まず、米国で配当金が支払われる際、日米租税条約の限度税率である10%が源泉徴収されます(出典:国税庁「日米新租税条約の概要」パンフレット、文書番号2643)。
その後、日本でも20.315%が課税されます。これが「二重課税」と呼ばれる構造です(出典:国税庁「(居住者用)外国税額控除を受けられる方へ」、令和6年分確定申告の手引き)。
特定口座(源泉徴収あり)を利用していても、外国税額控除を受けるためには自ら確定申告を行う必要があります。証券会社が自動で還付することはありません。
配当金の受け取り額が少ない段階では、外国税額控除の手続きコストと還付額を比較して判断することが現実的です。
外国税額控除を受けるための確定申告の方法
二重課税を解消する手段が「外国税額控除」です。確定申告を行うことで、米国で源泉徴収された外国税(10%)の一部または全部を取り戻せる可能性があります。
ただし、外国税額控除の控除限度額は「その年分の所得税額×(その年分の調整国外所得金額÷その年分の所得総額)」で計算されます(出典:国税庁 確定申告書等作成コーナー「外国税額控除額の計算方法」、令和6年4月1日現在法令等)。
米国で徴収された税額の全額が必ずしも還付されるわけではありません。控除しきれなかった外国所得税額は、翌年以後3年間繰り越すことができます。
外国税額控除を選択する際は、以下の点に注意が必要です。
- 配当金を申告分離課税または総合課税で申告する必要がある
- 申告することで住民税・国民健康保険料の算定に影響が出る場合がある(令和5年分所得税以降、所得税と住民税で同一の課税方式が適用されるため)
- 控除しきれない場合でも最大3年間の繰越が可能
税務に関するご判断は税理士等の専門家にご相談ください。最新の税制度については国税庁(https://www.nta.go.jp)をご確認ください。
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NISA口座で米国株を持っている場合の注意点
NISA口座(新NISA:つみたて投資枠・成長投資枠)で取得した上場株式等の配当金および譲渡益は非課税となるため、確定申告をする必要はありません(出典:国税庁 タックスアンサー No.1535「NISA制度」、令和6年1月1日施行)。
投資初心者の方にとって、NISA口座は税金の計算を気にせず取引できる点で非常に使いやすい仕組みです。
ただし、NISA口座を利用する際に注意すべき点が2つあります。
1つ目は、損益通算ができないこと。 NISA口座内で生じた譲渡損失はないものとみなされ、特定口座や一般口座の利益との損益通算や繰越控除には使えません(出典:国税庁 タックスアンサー No.1535)。
2つ目は、米国側の外国税(10%)は取り戻せないこと。 NISA口座で受け取る米国株・米国ETFの配当金に課される米国側の外国税(10%)は、外国税額控除の対象外とされており、確定申告しても取り戻すことができません(出典:国税庁 タックスアンサー No.1535 および No.1240)。
これはNISA口座で米国株に投資する際の構造的な特性です。事前に把握しておくことが大切です。
なお、Woodstockは現在NISA非対応で、特定口座(源泉徴収あり・なし選択可)を提供しています。NISA枠は他社で活用しつつ、米国株の24時間取引はWoodstockで、という併用も選択肢の一つです。取扱銘柄や口座の詳細については公式サイトでご確認ください。
損益通算と繰越控除で税負担を軽減する方法
米国株の取引で損失が発生した年は、確定申告によって税負担を軽減できる可能性があります。
上場株式等を金融商品取引業者等を通じて譲渡したことにより生じた譲渡損失は、確定申告により、その年分の上場株式等の配当所得等(申告分離課税を選択したものに限る)と損益通算できます(出典:国税庁 タックスアンサー No.1474「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」、令和7年4月1日現在法令等)。
損益通算後も控除しきれない損失は、翌年以後3年間にわたり繰越控除できます。ただし、繰越控除を受けるためには損失が生じた年から連続して確定申告書を提出する必要があります。
たとえば、ある年に米国株の売却で損失が発生し、翌年に利益が出た場合、前年の損失を繰り越して課税対象の利益を減らすことができます。
この損益通算の仕組みは、特定口座(源泉徴収あり)では同一口座内で自動的に行われますが、複数の口座間での通算や配当との通算は確定申告が必要です。
所得税の申告と住民税・健康保険料への影響
令和5年分(令和6年度住民税)以降、上場株式等の配当所得等・譲渡所得等について、所得税と住民税で異なる課税方式を選ぶことはできなくなりました(出典:国税庁「株式・配当・利子と税」、令和6年度住民税以降)。
以前は「所得税は申告分離課税、住民税は申告不要」という選択が可能でしたが、現在は所得税と住民税で同一の課税方式が適用されます。
これが意味するのは、確定申告で配当金や譲渡益を申告すると、住民税の計算にも影響が出るということです。さらに、国民健康保険に加入している方は、保険料の算定にも影響する可能性があります。
外国税額控除のために確定申告を行う場合は、こうした副次的な影響も含めて検討することが重要です。
まとめ
米国株の税金と確定申告の要否は、口座の種類と所得の状況によって異なります。
投資初心者の方には、まず特定口座(源泉徴収あり)を選択することをおすすめします。この口座を選ぶことで、譲渡益については原則として確定申告が不要になります。
米国株特有の注意点は、配当金の二重課税です。外国税額控除を活用したい場合は確定申告が必要ですが、住民税や健康保険料への影響も考慮した上で判断することが大切です。税務に関する具体的なご判断は、税理士等の専門家にご相談ください。
よくある質問
Q1. 米国株で利益が出たら、必ず確定申告しないといけませんか?
特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は、原則として確定申告は不要です。証券会社が源泉徴収して納税を代行します。ただし、外国税額控除を受けたい場合や、損益通算を複数口座間で行いたい場合は確定申告が必要です(出典:国税庁 タックスアンサー No.1476)。
Q2. NISA口座で米国株を保有している場合、確定申告は必要ですか?
日本側の税金については確定申告は不要です。ただし、米国側で源泉徴収される外国税(10%)は外国税額控除の対象外のため、確定申告しても取り戻すことはできません(出典:国税庁 タックスアンサー No.1535)。
Q3. 米国株の配当金には何%の税金がかかりますか?
米国株の配当金には、まず米国で日米租税条約の限度税率10%が源泉徴収されます。その後、日本でも20.315%が課税される二重課税の構造です(出典:国税庁「日米新租税条約の概要」パンフレット、国税庁「(居住者用)外国税額控除を受けられる方へ」)。
Q4. 米国株の取引で損失が出た年も確定申告は必要ですか?
損失が出た年は確定申告の義務はありませんが、翌年以降に損失を繰り越して利益と相殺(繰越控除)したい場合は、損失が生じた年から連続して確定申告書を提出する必要があります(出典:国税庁 タックスアンサー No.1474)。
Q5. 給与所得者は米国株の利益が年間いくらまで申告不要ですか?
1か所から給与を受け年収2,000万円以下の給与所得者は、給与所得・退職所得以外の所得の合計が年間20万円以下であれば確定申告は不要です。ただし、特定口座(源泉徴収あり)で「申告不要」を選択した所得はこの20万円の計算に含まれません(出典:国税庁「令和7年分 確定申告特集」)。
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