2026年9月7日
バフェットの保有銘柄から学ぶ長期投資
ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイは、世界で最も注目される機関投資家の一つです。 その保有銘柄は、四半期ごとにSECへ提出される「フォーム13F」という公開文書で誰でも確認できます。
この記事では、13F報告書の読み方と保有比率の見方を軸に、バフェット氏の投資哲学と長期投資の考え方を整理します。 個人投資家が「プロの視点から学ぶ」際の出発点として活用してください。
この記事のポイント
- フォーム13Fは米国SECに提出される機関投資家の株式保有報告書で、無料で閲覧できる
- バークシャーの最新ポートフォリオは29銘柄・約2,631億ドル(2026年3月31日時点)
- 13Fには45日のタイムラグがあり、日本株・完全子会社は含まれないという限界も理解しておく必要がある
フォーム13Fとは何か:バフェット氏の保有銘柄が公開される仕組み
フォーム13F(Form 13F)は、米国で1億ドル以上の株式を保有する機関投資家が四半期ごとにSEC(米国証券取引委員会)に提出する株式保有報告書です。 各四半期末から45日以内の提出が義務付けられており、1975年改正証券取引法(Section 13(f) of the Securities Exchange Act of 1934)に基づいて制定されました。
制度の目的は、大規模機関投資家の保有証券の透明性確保と、市場の完全性に対する投資家の信頼向上です。 バークシャー・ハサウェイもこの義務の対象であり、毎四半期、保有する米国上場株式のロングポジションが開示されます。
13F報告書はSECのEDGAR(電子データ収集・分析・検索システム)で誰でも無料で閲覧・検索できます。 データセットは四半期ごとに更新されるため、最新の情報を継続的に追うことが可能です。
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SECのEDGARで13Fを読む方法:保有比率の見方
13F報告書には、銘柄名・CUSIP番号(証券識別番号)・保有株数・報告時点の時価(市場価格ベース)が記載されています。 ただし、各銘柄の「保有比率」はそのまま記載されているわけではありません。
保有比率を計算するには、次の手順を踏みます。
保有比率の算出方法(例)
項目 | 内容 |
|---|---|
対象銘柄の時価 | 報告書記載の市場価格(ドル) |
ポートフォリオ総額 | 全銘柄の時価合計(ドル) |
保有比率(%) | 対象銘柄の時価 ÷ ポートフォリオ総額 × 100 |
例として、あるポートフォリオ総額が2,631億ドルで、ある銘柄の時価が263億ドルだった場合、保有比率は「263 ÷ 2,631 × 100 = 約10%」と計算できます。
EDGARの検索ページでバークシャー・ハサウェイ(CIK番号:0001067983)を検索し、「13F-HR」というファイルタイプを選ぶと、過去から最新の提出書類を一覧で確認できます。 報告書はXML形式で提供されており、表形式で銘柄ごとの保有株数と時価が並んでいます。
バークシャーの最新ポートフォリオ:2026年第1四半期時点の全体像
バークシャー・ハサウェイが2026年5月15日に提出した2026年第1四半期(2026年3月31日時点)の13F報告書では、保有銘柄数は29銘柄、ポートフォリオ総額は約2,631億ドルとなりました。
その前の報告書(2026年2月17日提出、2025年12月31日時点)では13F計上額が約2,742億ドル・42銘柄でした。 1四半期で銘柄数が42から29へと大幅に絞られており、ポートフォリオの集中度が高まっていることが読み取れます。
2025年末から2026年第1四半期にかけての主な動きとして、アップル(AAPL)とバンク・オブ・アメリカ(BAC)の保有株数を引き続き削減する一方、2025年末時点ではニューヨーク・タイムズ(NYT)を新規取得していたことが確認されています。
また、同期間のバークシャーの現金・現金同等物および米国短期国債の合計は約3,975億ドルと過去最高水準に達しました。 これは株式ポートフォリオ(約2,631億ドル)を大きく上回る水準であり、バフェット氏が相場に対して慎重な姿勢を維持していることを示す一つの指標として、多くの投資家が注目しています。
13Fに映らないバフェット氏の投資:日本株・完全子会社という盲点
13F報告書を読む際に理解しておくべき重要な限界があります。 13Fには米国上場株式のロングポジションのみが記載されるため、以下の資産は含まれません。
- 非米国上場株(日本の商社株など)
- バークシャーの完全子会社(GEICOやBNSFなど)
- 空売りポジション
- デリバティブ(派生商品)
この点は、日本株への投資を理解する上で特に重要です。
バークシャー・ハサウェイは2025年末時点で日本の五大商社(三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・丸紅・住友商事)の株式を保有しており、三菱商事10.8%・三井物産10.4%・伊藤忠10.1%・丸紅9.8%・住友商事9.7%の保有比率(議決権ベース)を開示しています(出典:時事通信、2026年3月1日配信)。
さらに2026年5月7日には、住友商事と丸紅の株式議決権割合がともに10%を超えたことが明らかになり、五大商社すべてで保有比率が10%を超えました(出典:Bloomberg日本語版、2026年5月7日)。
これらの日本株は13Fには一切記載されません。 13Fだけを見ていると、バークシャーの実際の資産構成の一部しか把握できないことになります。
バフェット氏の日本株投資:商社から損保へ広がる戦略
日本株への投資は商社にとどまりません。
2026年3月23日、バークシャー・ハサウェイと東京海上ホールディングス(8766)は資本業務提携を発表し、バークシャーは東京海上HD株の2.49%(18億米ドル相当)を取得しました(出典:日本経済新聞、野村證券市場戦略リサーチ部レポートを引用、2026年4月13日)。 これはバークシャーによる日本の商社以外への初の大型日本株投資となります。
野村證券市場戦略リサーチ部の試算によれば、バークシャーの商社・損保株の保有額は合計8兆円で、日本株全体の0.6%強に相当します。 またバークシャーの株式ポートフォリオ全体に占める日本株の割合は約14.3%とされています(出典:野村證券市場戦略リサーチ部、大量保有報告書・Bloombergデータに基づく試算、2026年4月13日)。
バフェット氏が日本株に見出した価値として、投資家の間では「低PBR・高配当・安定した事業キャッシュフロー」という特徴が挙げられることが多いです。 ただしこれはバフェット氏本人が公式に示した選定基準ではなく、公開情報をもとにした一般的な分析です。 投資判断はあくまでご自身の評価に基づいて行ってください。
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バフェット氏の投資哲学:13Fから読み取れる長期投資の考え方
13F報告書の変化を時系列で追うと、バフェット氏の投資哲学の一端が見えてきます。
集中投資:42銘柄から29銘柄への絞り込みが示すように、バークシャーは広く分散するよりも、確信度の高い企業に資本を集中させる傾向があります
長期保有:アップルは保有株数を削減しているものの、依然としてポートフォリオの中心的な銘柄として残っています。短期的な株価の変動に反応するのではなく、事業の本質的な価値を重視する姿勢が読み取れます。
割安な時期に仕込む:過去最高水準に達した約3,975億ドルの現金保有は、バフェット氏が「今の相場では割安な投資先が見つからない」と判断している可能性を示唆します。現金を積み上げ、相場の急激な調整局面に備えるという考え方は、長期投資家が学べる視点の一つです。
理解できるビジネスに投資する:バークシャーの保有銘柄を見ると、金融・消費財・エネルギーなど、収益モデルが比較的わかりやすい企業が中心です。複雑な事業構造や先行きが不透明な企業を避けるという哲学は、個人投資家にも応用できる考え方です。
13Fを参考にする際の注意点:タイムラグとデータの限界
13F報告書を投資の参考にする際には、いくつかの重要な制約を理解しておく必要があります。
最大45日のタイムラグ:四半期末から45日以内に提出が義務付けられているため、公開時点では既に売買が完了している可能性があります。多くの大手機関投資家は情報保護のため、提出期限ギリギリに提出する傾向があります(出典:日本経済新聞「フォーム13Fとは プロの株式売買が見える米国の報告書」、2024年8月18日)。
米国上場株のロングのみ:前述のとおり、日本株・完全子会社・空売り・デリバティブは含まれません。13Fは「ポートフォリオの一部」に過ぎません。
文脈なしの数字:保有株数が増減した理由は13Fには記載されていません。リバランス(資産配分の調整)なのか、戦略的な方針転換なのかは、決算資料や株主への手紙など別の情報源と照らし合わせる必要があります。
これらの限界を踏まえたうえで、13Fは「世界有数の長期投資家が何を保有しているか」を定点観測するための有用な情報源として活用できます。
まとめ
フォーム13Fは、バフェット氏をはじめとする世界の大規模機関投資家の保有銘柄をSECのEDGARで無料確認できる公開情報です。 バークシャーの2026年第1四半期末時点のポートフォリオは29銘柄・約2,631億ドルで、現金保有は約3,975億ドルと過去最高水準に達しています。
一方で、13Fには45日のタイムラグがあり、日本株(商社・東京海上HD)や完全子会社は含まれません。 保有比率の計算方法と情報の限界を理解したうえで、長期投資の考え方を学ぶ参考資料として活用することが大切です。
よくある質問
Q1. フォーム13Fはどこで見られますか?
SECのEDGAR(https://www.sec.gov/cgi-bin/browse-edgar)で無料で閲覧できます。バークシャー・ハサウェイの場合はCIK番号「0001067983」で検索し、ファイルタイプ「13F-HR」を選択してください。
Q2. 13Fの保有比率はどう計算しますか?
「対象銘柄の時価 ÷ ポートフォリオ総額 × 100」で算出できます。報告書には各銘柄の保有株数と時価が記載されているため、全銘柄の時価を合計してポートフォリオ総額を算出し、各銘柄の時価で割ります。
Q3. バークシャーの日本株は13Fで確認できますか?
できません。13Fには米国上場株のロングポジションのみが記載されます。日本の商社株や東京海上HD株などの非米国上場株は含まれないため、大量保有報告書など別の情報源で確認する必要があります。
Q4. 13Fを見て同じ銘柄を買えばよいですか?
13Fには最大45日のタイムラグがあり、公開時点で既に売買が完了している可能性があります。また、バフェット氏の投資判断の背景(保有期間・取得コスト・全体戦略)は13Fだけでは把握できません。13Fはあくまで情報収集の一手段として活用し、投資判断はご自身で行ってください。
Q5. バークシャーの現金保有が多いのはなぜですか?
2026年3月31日時点で約3,975億ドルと過去最高水準に達しています。現金を積み上げる理由についてバフェット氏は毎年の株主への手紙などで言及していますが、一般的には「現時点で割安と判断できる投資先が限られている」「相場の急激な調整局面に備えている」という解釈がなされることが多いです。投資の最終判断はご自身でお願いします。
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・投資にあたっての最終決定はお客様ご自身の判断でお願いいたします。
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・本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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