2026年7月27日
米国株の約定と受渡|T+2ルールの基本
米国株に注文を出して「約定しました」と通知が来たとき、実際に資金や株式が口座へ反映されるのはいつでしょうか。
株式取引には「約定」と「受渡」という2つの時点があり、その間には一定の営業日数が設けられています。このしくみを「決済期間」と呼び、米国株には現在T+1ルールが適用されています。日本株はT+2です。初めて米国株を取引する方にとって、この違いは売却タイミングや資金計画に直結するため、基本知識として押さえておく価値があります。
この記事のポイント
- 約定日(T)とは売買が成立した日のこと。受渡日とは資金・株式が実際に決済される日のこと
- 日本株はT+2(約定日の2営業日後)、米国株は2024年5月28日以降T+1(約定日の1営業日後)が適用
- 受渡日を理解しておくと、売却後の資金をいつ再利用できるかが明確になる
約定と受渡とは何か
株式の取引には2つの重要な時点があります。
約定日(やくじょうび) は、売り注文と買い注文が市場でマッチングし、売買が成立した日です。英語では「Trade date」といい、T+1やT+2の「T」はこの約定日を指します。
受渡日(うけわたしび) は、実際に資金と株式の受け渡しが完了する決済日です。買い手は代金を支払い、売り手は株式を引き渡します。口座残高への反映もこのタイミングで行われます。
約定してもすぐに口座の現金が変わらないのは、この受渡日が別に設定されているためです。
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T+2とはどういう意味か
「T+2」とは、決済日(受渡日)が約定日の2営業日後であることを意味します。
「T」は約定日(Trade date)の頭文字で、「+2」は2営業日後を表します(出典:日本取引所グループ「株式等の決済期間短縮化(T+2化)」)。
たとえば月曜日に約定した場合、2営業日後の水曜日が受渡日になります。祝日が間に入る場合は、その分だけ受渡日がずれます。
約定日(T) | 受渡日(T+2) |
|---|---|
月曜日 | 水曜日 |
木曜日 | 月曜日(翌週) |
金曜日(祝日なし) | 火曜日(翌週) |
※祝日が挟まる場合は営業日ベースでカウントするため、受渡日がさらに後ろへずれます。
日本株のT+2化の経緯
日本の株式市場では、2019年7月16日約定分よりT+2化が実施されました(出典:日本取引所グループ「株式等の決済期間短縮化(T+2化)」)。
それ以前はT+3、つまり約定日から起算して4営業日目が受渡日でした。東京証券取引所・日本証券クリアリング機構・日本証券業協会が事務局を務めるワーキング・グループが2015年から業界横断的に検討を進め、実施に至っています。
T+2化の主要な目的は、受渡日を早めることで未決済残高を減らし、決済リスクを低減させることにあると日本証券業協会は説明しています(出典:日本証券業協会「T+2リーフレット」2019年7月)。
なお、欧州は2014年10月、米国は2017年9月にT+2へ移行しており、日本の移行は国際的な流れに沿ったものでした(出典:金融庁「T+1化に関する勉強会 中間整理(概要)」2025年7月15日)。
米国株の決済期間:T+1への移行
米国株の決済期間は、現在T+2ではありません。
米国証券取引委員会(SEC)は2023年2月15日に1934年証券取引所法を改定し、米国証券取引の決済期間を「取引日から二営業日以内」(T+2)から「取引日から一営業日以内」(T+1)へと短縮しました。ブローカー・ディーラーへのT+1決済の遵守義務は2024年5月28日以降に適用されています(出典:大和総研「米国証券取引の『T+1』決済、5月28日開始」鈴木利光、2024年1月12日)。
カナダ・メキシコも同時期にT+1へ移行しており、EU・英国・オーストラリア・シンガポール・香港でも検討が開始されています(出典:大和総研「株式決済期間短縮(T+1)に向けた動きとわが国の対応の方向性」日本総研・谷口栄治、2024年10月10日)。
日本から米国株を取引する場合の国内受渡日
米国株はT+1であっても、日本の投資家が国内の証券口座で取引する場合、国内受渡日は米国の現地約定日(現地約定日)に加えて日本の営業日や時差の関係が加わります。
米国のT+1移行に伴い、日本の市場参加者(ブローカー・ディーラー、カストディアン、信託銀行、資産運用会社等)は、時差の関係上、極めて短時間での事務処理が求められるようになっています(出典:大和総研、2024年1月12日)。
具体的な国内受渡日は利用する証券会社・サービスによって異なるため、ご利用の証券会社の案内をご確認ください。
決済期間短縮のメリットとデメリット
決済期間を短縮することには、投資家・市場双方にとっていくつかの意味があります。
メリット
- 決済リスクの減少:未決済残高が減ることで、取引相手が決済不履行に陥るリスクが低下します
- 資金効率の改善:売却代金を受け取るまでの期間が短くなり、次の取引への再投資がしやすくなります
- 金融市場の魅力向上:決済事務の合理化・効率化が進み、市場の国際競争力が高まります
デメリット
- フェイル(決済不履行)リスクの増加:処理時間が短くなるため、株式や資金の手当てが間に合わないケースが増える可能性があります
- オペレーショナル・リスクの増大:事務処理の高速化が求められ、特に時差のある国をまたぐ取引では対応負荷が高まります
(出典:大和総研「株式決済期間短縮(T+1)に向けた動きとわが国の対応の方向性」日本総研・谷口栄治、2024年10月10日)
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日本のT+1化に向けた検討状況
米国がT+1へ移行したことを受け、日本でも制度的な検討が進んでいます。
金融審議会・市場制度ワーキング・グループは2024年7月2日付報告書において、「国際的に株式決済期間のT+1化の実施・検討が進む中で、日本の証券決済制度が国際標準から取り残されないよう、市場関係者においてT+1化を進めるに当たっての方法や課題等について実務的な検討を始めることが必要」と提言しました(出典:金融庁「証券決済期間の短縮化(T+1化)に係る検討状況について」2024年7月2日)。
金融庁・日本証券業協会・日本証券クリアリング機構・東京証券取引所を事務局として「T+1化に関する勉強会」が2024年9月に設置され、2025年7月に中間整理が公表されました(出典:金融庁「証券決済期間の短縮化(T+1化)に係る検討状況について」2025年7月15日)。
この中間整理では、米国のT+1化から約1年が経過した時点で、国内において米国との決済期間の相違によるオペレーション上の不都合は生じておらず、現時点では日本の決済期間がT+2のままであることにより諸外国(特に米国)から取引を忌避される事態も生じていないと報告されています(出典:金融庁「T+1化に関する勉強会 中間整理(概要)」2025年7月15日)。
なお、日本のT+2化は検討開始から実施まで約5年を要しており(2014年勉強会設置→2019年7月移行)、T+1化の議論も相応の期間を要するものと見られます。
受渡日を知っておくと役立つ場面
T+2やT+1という知識は、実際の取引でどのように役立つのでしょうか。
売却後の資金再利用:米国株を売却しても、資金が口座へ反映されるのは受渡日です。その資金で別の株式を購入したい場合、受渡日のタイミングを把握しておくことで資金計画が立てやすくなります。
配当の権利確定との関係:配当の権利を得るには、権利確定日(レコードデート)時点で株主名簿に記載されている必要があります。受渡日が権利確定日に間に合うよう、逆算して約定日を計算することが重要です。現物取引では、受渡日ベースで権利が確定するため、約定日だけを見て判断すると権利を取り逃す可能性があります。
売買注文の有効期限と決済:注文の有効期限設定や、証券取引において現物取引の残高確認をするときも、受渡日の概念が基準になります。
Woodstockでは米国株・ETFの取引手数料・為替手数料・残高手数料・出金手数料がすべて無料です。24時間取引が可能で(システムメンテナンス時・一部時間外取引対象外の銘柄を除く)、0.0001株単位・200円から米国株式の現物取引を始められます。具体的な国内約定日・国内受渡日の確認方法については、Woodstock公式のFAQをご覧ください。
まとめ
約定日(T)と受渡日の関係を整理すると、以下のようになります。
- 約定日:売買が成立した日(T)
- 受渡日:資金と株式の決済が完了する日
- 日本株:T+2(約定日の2営業日後)。2019年7月16日より適用
- 米国株:T+1(約定日の1営業日後)。2024年5月28日より適用
T+1やT+2は単なる制度上の数字ではなく、売却後の資金をいつ再利用できるか、配当の権利をいつまでに取得すべきかといった実践的な判断に直結する知識です。
日本でもT+1化に向けた検討が進んでいます。今後の証券決済制度の変更情報は、金融庁や日本証券業協会の公式サイトで最新情報をご確認ください。
よくある質問
Q1. 米国株を月曜日に約定した場合、受渡日はいつですか?
米国市場での約定日が月曜日の場合、T+1ルールにより火曜日(翌営業日)が受渡日となります。ただし、日本の投資家が国内の証券口座で取引する場合、国内受渡日は時差や国内営業日の関係でさらに変わることがあります。ご利用の証券会社・サービスの案内をご確認ください。
Q2. 約定日と受渡日が異なるのはなぜですか?
株式取引では、売買の成立後に株式の移転と代金の支払いを確実に処理するための事務作業が必要です。この作業を安全・確実に完了させるために、約定日と受渡日の間に一定の営業日数が設けられています。決済期間の短縮は決済リスクの低減や資金効率の改善につながる一方、処理時間が短くなることでオペレーショナル・リスクが増すという側面もあります。
Q3. 日本株と米国株で決済期間が違うのはなぜですか?
日本株はT+2、米国株はT+1です(2024年5月28日以降)。米国はSECの規則改定によりT+1へ移行しており、カナダ・メキシコも同様です。日本ではT+1化に向けた勉強会が2024年9月に設置され、2025年7月に中間整理が公表されましたが、現時点ではT+2が継続されています。
Q4. 売却代金はいつ使えるようになりますか?
売却代金が口座へ反映されるのは受渡日です。米国株であれば現地約定日の翌営業日が米国側の受渡日ですが、日本国内の証券口座への反映タイミングはサービスにより異なります。詳細はご利用の証券会社にご確認ください。
Q5. 配当の権利を得るには、いつまでに株を購入すればよいですか?
配当の権利を得るには、権利確定日(レコードデート)時点で株主名簿に記載されている必要があります。受渡日ベースで株主名簿が確定するため、権利確定日から逆算して受渡日が間に合うよう約定日を設定することが必要です。具体的な計算方法は、ご利用の証券会社にお問い合わせください。
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