March 12, 2025
【米国株見通し】トランプ関税の真の狙いとは

【米国株見通し】トランプ関税の真の狙いとは
米国株の下落が続いています。主な理由は関税政策の不透明性とリセッション(景気後退)の見方が強まっているからだと考えられます。米国株は投資先として魅力が高く、新NISAを活用してS&P500に連動する投資信託などの金融商品を購入した方は、下落が続いているという報道を受けて心配になっている頃ではないでしょうか。今回は株価下落の要因を解説し、トランプ大統領の真の狙いについて議論していきます。
本記事ではWoodstock経済部の山本が、
- S&P500はなぜ下落している?
- 関税政策以外の要因は?
- トランプ大統領は何を目指している?
そんな疑問や不安を持っている方に向けて分かりやすく解説していきます。
(本記事では現状を分析した上で筆者個人の見解を述べるに留まり、決して株価、企業の将来を保証したり、特定の政治的思想を支持するものではありません。投資のご判断はご自身でお願いいたします。)
- 1 .最新のマーケット、経済をチェック
- 1−1.主要株価指数は関税発言で下落
- 1−2 債券市場では景気後退の見方はひと段落か
- 1−3 景気、物価、雇用の現状
- ①景気感は低下している
- ②インフレ懸念は低下か
- ③雇用はやや失速
- 2.トランプ大統領の真の狙いとは
- 2-1 財政赤字の縮小が看板政策
- 2-2 「関税政策」は市場を混乱させる作戦か
- 3.米国市場 今後の見通しは?
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この記事で使用される用語
- PMI(S&P米総合購買担当者景気指数)
製造業とサービス業の景況感を示す指数で、50を上回ると景気拡大、下回ると景気縮小を示唆する。 - PCEコア価格指数
個人消費支出(PCE)の中から変動が大きい食品とエネルギーを除いたインフレ指標で、FRBが金融政策を決める際の重要な指標。 - 米地区連銀報告(ベージュブック)
米国内12の地区連銀がまとめる経済報告で、雇用、物価、消費などの現状を分析し、FOMC(米連邦公開市場委員会)の判断材料となる。 - 雇用統計(NFP: 非農業部門雇用者数)
毎月発表される米国の雇用状況を示す統計で、失業率や賃金の伸びとともに、景気やFRBの金融政策に影響を与える。 - ADP雇用統計
米民間企業ADP社が発表する雇用指標で、NFPの先行指標とされるが、政府の公式統計とは数値のズレがあることも多い。
1 .最新のマーケット、経済をチェック
まず初めに、最新のマーケットを確認しておきましょう。主要株価指数(ナスダック総合指数、S&P500、NYダウ、ラッセル2000)と債券市場からマーケットの動きを包括的に分析し、経済データ(PCE、雇用統計)からアメリカ経済の現状を解説していきます。
1−1.主要株価指数は関税発言で下落
以下のチャートは上段にS&P500(青)、NYダウ(黄)、ナスダック総合指数(緑)、ラッセル2000(白)、下段に投資家の恐怖感を示すVIX指数(恐怖指数)を示しています。2月末にPMI(S&P米総合購買担当者指数)が2023年9月以来の低水準であった事を受け下落、その後トランプ大統領の関税政策関連の発言や雇用悪化を受けて下落基調が続いている事が分かります。また、同時に欧州市場ではドイツの経済成長を期待した買いが続いたため、その影響も一部あったかと思われます。VIX指数(恐怖指数)もじりじりと上昇を続け、リスクが高いと判断される基準の30ポイントに近づこうとしています。
「主要株価指数とVIX指数の推移」/出所:TradingView(2025年3月12日午後6時現在)
VIX指数(恐怖指数)に関する記事はこちらを読んでみてください👇
1−2 債券市場では景気後退の見方はひと段落か
次に債券市場を見てみると、3月までは長期国債(10年債)と短期国債(2年債)のイールドスプレッドが縮小していました。インフレ懸念が高まると、市場は「将来の金利上昇」を予想し、金利が上がると債券価格は下がるため、特に短期債券は売られやすくなります。短期債は満期が近いため、インフレによる実質価値の目減りを受けやすいからです。一方、景気不安が広がると、利下げの可能性が高まり、金利が下がると長期債の価格は上昇するため、投資家は値上がりを見込んで長期債を買う動きが強まります。このような市場の見方から債券市場では短期的なインフレ懸念から短期債の売りが加速し、短期金利は上昇。長期的な景気の失速警戒から長期債は買われ、長期金利が下落し、債券利回り格差が縮小しました。
一方で3月に入ると逆の動きとなっています。インフレの根強さからFRBの高金利維持政策が織り込まれたことで、10年債の売りが高まり、金利が上昇した事が分かります。
「米国10年債、2年債利回り差推移」/ 出所:TradingView(2025年3月12日日本時間17時現在)
1−3 景気、物価、雇用の現状
経済のファンダメンタルズはどうでしょうか。景気、物価、雇用の3分野に分けて詳しく分析します。
①景気感は低下している
以下のチャートは米国経済の景気感を示すPMI(S&P米総合購買担当者景気指数)の推移を表しています。総合PMI(青)とサービスPMI(紫)は下落しており、特にサービスPMIは景気悪化の基準値とされる50ポイントを下回っています。アメリカの全体的な景気感は下がっている事が分かります。二月末の株式市場の大きな下落はこのPMIの下落が要因となりました。
「S&P米総合購買担当者指数は下落」/出所:S&P Global PMI より引用
②インフレ懸念は低下か
一方、物価面では連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として重視するPCEコア価格指数が小幅な伸びにとどまっています。連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として特に重要視するコアPCE(個人消費支出コア価格指数)の上昇率が市場予想を下回り、物価上昇圧力が鈍化している兆しが示されました。
「コアPCEの推移」/ 出所:U.S. Bureau of Economic Analysis より引用
一方Bloombergによると、米地区連銀報告(ベージュブック)で物価が少しずつ上昇している事が報告されています。
米FRB、関税巡る懸念の高まり指摘-地区連銀報告で49回言及 - Bloomberg
また、トランプ大統領の関税政策の影響は来月発表される経済指標に現れるとの報道もあり、今後より一層注目する必要がありそうです。
③雇用はやや失速
今月7日に発表された2月の雇用統計では市場の予想を下回る結果となり、失業率も前月から上昇しました。労働市場は比較的堅調に推移してきましたが、やや不安が残る結果となりました。また、5日に発表されたADP雇用統計では市場の予想が14万人の雇用者数増加に対し、7万7000人でした。二つの雇用に関するデータを見ると、労働市場は鈍化している可能性もあります。
「失業率の推移」/ 出所:U.S. Bureau of Labor Statistics より引用
これら三つのデータのみに着目すると、
- 景気感 → 低下
- インフレ → やや鈍化
- 雇用 → やや悪化
このような結果となっています。経済データ自体は市場にインパクトを与える程弱くはなかったため、やはりトランプ大統領による発言が株価下落の大きな要因となっています。トランプ大統領の関税政策は恐らく未だデータ上に反映されていないため、同氏の政策による影響は不透明です。今後発表されるデータに注目です。
2.トランプ大統領の真の狙いとは
2-1 財政赤字の縮小が看板政策
トランプ大統領は以前から政府の財政赤字の縮小を公約に掲げてきました。また、事務長官のベッセント氏も、「財政赤字をGDP(国内総生産)比3%縮小」を目指すことを政権発足以前から発言していました。その理由は、2024年にはアメリカの財政赤字が1.7兆ドルに上り、債務危機の可能性が高まっていたからです。
特に、2020年のパンデミックをきっかけに政府の支出が爆発的に増加し、赤字の穴埋めとして大量の国債が発行されました。しかし、その国債の利払いコストが今、新たな問題を引き起こしています。
以下のグラフは、GDP比での利払いコストと債務残高の推移を示しています。現在、FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレ抑制のために高金利政策を維持していることもあり、政府が支払う利息負担は金利の高止まりから急激に増加しています。
「利払いコストと債務残高(対GDP比)の推移」/出所:Federal Reserve Bank of St. Louis より作成
国債の償還期限が近づく中、新たに発行する国債の金利が高止まりすれば、財政赤字の悪化は避けられません。これは「借金を返すための借金」のコストがどんどん上がり、雪だるま式に赤字がさらに膨らむという悪循環に陥ることを意味します。
こうした状況の中、トランプ政権は財政赤字の拡大を食い止めるために、長期金利を低下させ、利払いコストを下げる必要があります。 しかし、FRBに金利を引き下げさせるのは容易ではありません。そこでトランプ政権が利用している可能性があるのが、「関税政策」なのです。
2-2 「関税政策」は市場を混乱させる作戦か
関税の引き上げや新たな貿易規制を発表すれば、市場は不安定になり、株式市場が動揺します。まさに現在起きている事です。これにより投資家のデリスキング(リスク軽減)が強まり、安全資産である米国債券への需要が高まります。
債券の買いが進めば、利回りは低下します。つまり、関税政策を使って市場に揺さぶりをかけ、結果的に金利を下げることで政府の利払いコストを抑えようとしているのではないか、という仮説が成り立つわけです。
以下のチャートは米国10年債の利回り推移を示しています。トランプ大統領の関税関連政策によるリスクオフから債券が買われ、金利が下落していることが分かります。
「米国10年債利回り推移」/ 出所:TradingView(2025年3月13日日本時間21時現在)
更にトランプ氏は「株式市場は見ていない」との旨を最近発言しています。これは投資家の資金を債券市場に移すための発言だったのではないかとも取れます。関税政策は、貿易赤字の解消や移民問題を始めとしたアメリカの不都合を取り除くディールとした見方がされてきました。
それに加え、財政問題を解決するための利払いコストを抑える手段である事も考えられるのです。財政赤字の拡大、増え続ける国債の利払い負担、そしてトランプ政権の関税政策。これらが単なる貿易政策ではなく、政府の財政戦略と結びついていると考えると、今後の市場からますます目が話せません。今後発表される政策や市場の反応を注意深く見ていくことで、この仮説が実証されるかもしれません。
3.米国市場 今後の見通しは?
記事の前半では最新の米国市場と経済状況をデータとともに解説しました。株式市場はトランプ大統領の関税政策により振り回されています。経済の状態は今回注目したデータ上悪くはなく、やはりトランプ大統領の発言による影響が大きくなっていました。
そして、後半では再度トランプ大統領の主要政策である「財政赤字の縮小」から「トランプ政権が関税政策を利用して市場混乱を引き起こし、長期金利を低下させることで、政府の利払い負担を抑えようとしている可能性があるのではないか」という議論をしてきました。
今回の記事を踏まえ、今後を展望するのであれば、株式市場の下落はファンダメンタルズ(根本的な経済状況)に起因するものではないため一時的と考える事もできるかもしれません。
参考文献
- TradingView
- Federal Reserve Bank of St. Louis
- U.S. Bureau of Labor Statistics
- S&P Global PMI
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