March 24, 2026
【特集】今の混乱相場に耐えるためのETFという選択肢

2月末に米・イスラエルがイランへの軍事攻撃を開始後、世界の原油輸送の要所であるホルムズ海峡が事実上封鎖され、原油価格が急騰しています。その影響は原油市場にとどまりません。
下のグラフが示すように、原油高は債券市場にも即座に波及しました。年初の時点では、市場は2026年中に2〜3回の利下げを織り込んでいました。ところが、3月に入りイラン戦争が激化すると、その期待は急速になくなっていきました。グラフの線は「2回の利下げ」水準から「1回」へ、そして3月中旬にはついにゼロラインを突破し、利上げ織り込みの領域に突入しました。

【Market pricing in 50% chance of rate hike|出典:Bloomberg】
金利が下がらない環境は、市場全体に大きな影響を及ぼしています。S&P 500・ナスダック・ダウ平均の主要3指数はそろって重要な指標である200日移動平均線を割り込み、ナスダックはYTD(年初来)で約−5.6%と低迷しています。
こうした中、投資家の資金はグロース株から他のセクターへと急速に流れ込んでいます。原油高の恩恵を受けるエネルギーETF(XLE)は年初来+30%と市場全体を大きく上回っています。
一方、韓国・ブラジルといった海外株ETFへの資金流入は、戦争とは別の文脈で起きています。この動きは2025年から本格化しており、約15年間続いた「米国一強」への反動として、世界の機関投資家が新興国市場への分散を進めてきた流れです。2025年の新興国株は約33%上昇し、S&P 500のほぼ2倍のリターンを記録しました。
2026年に入り韓国ETF(EWY)の勢いは加速し、2月末時点での年初来リターンは53.79%。ブラジルETF(EWZ)は、2026年の年初から2カ月間で18.5%増という高い伸びを見せています。
相場下落時に利益が出るインバース系ETFへの関心も急上昇中です。
地政学リスクが重なった今、分散投資の重要性が改めて問われています。
戦争が長引いた時の資産を守る選択肢として、Woodstockで取引できるETFを紹介していきます。
⚠️ 注意事項: 本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。特にレバレッジ型・インバース型ETFは短期的な価格変動が大きく、投資にはリスクが伴います。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。
① エネルギーETF
原油価格の急騰により、エネルギーセクターは今年最も注目されている投資先のひとつです。ホルムズ海峡の封鎖リスクが続く中、石油メジャーの収益見通しは上方修正が相次いでいます。
代表的なのがXLE(Energy Select Sector SPDR Fund)。ExxonMobil・Chevron・ConocoPhillipsなど米国エネルギー大手22社をまとめて保有できるETFで、年初来リターンは+33%とS&P 500を大幅に上回っています。経費率はわずか0.08%と低コストで、配当利回りも約2.6%あります。

探鉱・生産に特化したXOP、原油先物に直接連動するUSO、油田サービス会社に投資できるOIHなども選択肢です。年初だけでXLEには約60億ドルもの資金が流入(*1)しており、機関投資家が先回りで積み増しているのが見て取れます。
② グローバルETF(韓国・中国・ブラジルなど)
S&P 500が低迷する一方で、米国外の株式市場は今年大きくアウトパフォームしています。「脱・米国集中」の動きが加速しており、新興国ETFへの資金流入が続いています。
EWY(韓国)は2月だけで+21.8%という驚異的な上昇を記録。Samsung・SK Hynixという世界トップクラスのメモリチップ2社がポートフォリオの約50%を占めており、AI需要に伴う半導体メモリの爆発的な需要増加の直接の受益者です。

EWZ(ブラジル) は石油・鉄鉱石・農産物など資源銘柄が中心のETFです。PER(株価収益率)は約10倍台とS&P 500の半分以下で、長らく割安に放置されてきた市場。世界最大級の農地・鉄鉱石・原油埋蔵量を持ち、「米国テック一強」から「資源・新興国」への資金シフトという長期トレンドの恩恵を最も受けやすい国のひとつです。(*2)
著名投資家のドラッケンミラーがブラジルのETFを大量購入していたことがBloombergで報じられ、話題になりました。EWZは1月に月次+20%を達成しています。(*3)
FXI(中国)はPERが約10倍台と、S&P 500の22倍と比べて割安感が際立ちます。中国政府の景気刺激策への期待や、国内AI投資の拡大も追い風です。
③ 米国債ベアETF(Treasury BEAR)
戦争開始前までは、金利が下がる傾向だったため、長期国債の価格が上がっていました。しかし、戦争開始により状況は変わりました。
先ほどのグラフが示すように、戦争勃発前まで利下げ期待で低下していた10年国債利回りは、3月2日を境に一日で急反転。原油高がインフレ再燃への懸念を呼び起こし、国債が一斉に売られたためです。FRBが利下げどころか利上げに転じる可能性が意識され始めているためです。3月20日時点では、債券市場は年内の利下げ確率をゼロと見るだけでなく、10月までに利上げが実施される確率を50%と織り込み始めています。(*4)

金利が上がると債券価格は下がります。この動きを最もわかりやすく表しているのがTLT(iShares 20+ Year Treasury Bond ETF)です。長期国債に連動するETFで、金利が下がる局面では上昇しますが、今のような金利上昇局面では反対に価値が下落します。
この「TLTが下落する局面」で逆に利益を得られるのがTreasury BEAR ETFです。代表的なのがTBT(TLTの-2倍インバース型)で、長期金利が上昇するほど価値が上がります。より積極的なTMV(-3倍)という選択肢もあります。
ただし注意点があります。戦時中、市場は急激に変化するため、あくまで「利上げへの方向性ある短期賭け」として捉えることが重要です。
④ インバースETF(S&P・Nasdaq ベア)
相場が下落するときに価値が上がる「ベアETF」にも、ここ数週間で資金が急増しています。主要指数が200日移動平均線を割り込んだことで、ヘッジ需要が一気に高まっているためです。

S&P 500向けでは、シンプルな-1倍のSH、より攻撃的な-2倍のSDS、-3倍のSPXUがあります。Nasdaq-100向けでは、-1倍のPSQ、-2倍のQID、-3倍のSQQQが代表的です。
ただし、これらには非常に重要な注意点があります。インバースETFは毎日リバランス(日次リセット)される仕組みのため、数週間以上保有すると「ボラティリティの減衰」と呼ばれる現象により、予想通りのパフォーマンスにならないことがあります。あくまで数日〜数週間の短期ヘッジツールとして設計されており、長期保有には適していません。
⑤短期国債ETF(現金に近い)
なお、相場の先行きが見えない局面では、SHV(超短期国債ETF)という選択肢もあります。これは事実上、「株を売って現金に換える」のと近いものです。満期が数ヶ月以内の短期国債のみで構成されているため、長期国債と違い金利が上がっても下がっても価格がほぼ動きません。リスクを取るのをいったんやめて、次の動きを待つ待機場所として機能します。現在の利回りは年率約4%と、リスクをほぼ取らずに利息が得られる水準です。

今月米国のマネーマーケットファンド(MMF)への資産残高はすでに史上最高の8.27兆ドルに達しており、イラン戦争が始まった3月第1週だけで490億ドルが流入したというデータもあります(*5)。
MMFとは、短期国債などの安全性の高い資産で運用される投資信託の一種で、元本割れリスクが極めて低く、現金の代わりに一時的に資金を置いておく場所として広く使われています。SHVはこのMMFと非常に近い性質を持つETF版といえます。証券口座から直接売買できる手軽さが特徴です。
プロの投資家たちもまた、混乱が過ぎるのをキャッシュで待つという選択をしているようです。
⑥ 防衛株・防衛ETF
地政学リスクが高まると、歴史的に防衛株は上昇します。米・イスラエルによるイラン攻撃が始まった今回も例外ではなく、対イラン作戦のコストは1日10億ドル以上とも報じられています。
代表的なETFがITA(iShares U.S. Aerospace & Defense ETF)。GE Aerospace・RTX・Boeing・Lockheed Martin・Northrop Grummanを含む45銘柄に分散投資できます。

個別株では、ロッキード・マーティン(LMT)、ノースロップグラマン(NOC)、RTX(旧Raytheon)などが特に注目されています。「どの武器が使われているか」がそのままニュースになる局面で、これらの企業への受注は加速しています。
(*1)State Street「Energy Select Sector SPDR Fund (XLE) – Fund Flows」ETF Database
https://etfdb.com/etf/XLE/#fund-flows
(*2)Yahoo Finance「iShares MSCI Brazil ETF (EWZ) – Holdings」
https://finance.yahoo.com/quote/EWZ/holdings/
(*3)Bloomberg「Billionaire Investor Druckenmiller Piled into Brazil ETF before January Rally」2026年2月18日https://www.bloomberg.com/news/articles/2026-02-18/druckenmiller-piled-into-biggest-brazil-etf-before-january-rally
(*4)Bloomberg「Trades Lift Bets on a Fed Hike This Year as Yields Surge」https://www.bloomberg.com/news/articles/2026-03-20/us-yields-continue-to-push-higher-as-inflation-fears-persist
(*5)Bloomberg「Money Funds Rise to Record $8.27 Trillion in Dash for Cash」https://www.bloomberg.com/news/articles/2026-03-04/money-fund-assets-rise-to-record-8-27-trillion-in-dash-for-cash?embedded-checkout=true
WoodstockでのETFの見つけ方
今回紹介した一部銘柄はWoodstockアプリから簡単に検索・購入できます。
アプリ上部の検索バーに「XLE」「SHLD」などティッカーを入力するだけで、簡単に銘柄ページにアクセスできます。
すべて手数料無料であり、24時間取引(一部非対応)が可能です。
防衛株・エネルギー株は、戦況の急変など夜間・週末のニュースで大きく動くことがあります。Woodstockの24時間取引機能を使えば、日本時間の朝も昼もリアルタイムに対応できます。
⚠️ 注意事項: 本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。特にレバレッジ型・インバース型ETFは短期的な価格変動が大きく、投資にはリスクが伴います。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。