地政学リスク上昇で中央銀行、金準備の積み増しと自国保管へ
要点: WGC調査は、中央銀行が金準備の積み増しと自国内保管を志向し続け、金をインフレ・地政学・通貨リスクへの戦略的ヘッジと見ていることを示したが、本国回帰の規模や動機はまだ確認できていない
地政学リスク上昇で中央銀行、金準備の積み増しと自国保管へ
世界金協会(WGC)が公表した中央銀行の年次調査によると、運用の現場では金準備を引き上げる意向が強く、さらに地金の保管先を海外から自国内の金庫へ移管させる動きが広がっている。回答した運用担当者らは、金をインフレや地政学的ショック、通貨リスクに対抗するための不可欠な長期ヘッジ手段と位置づけている。
ただし、この保管先見直しの具体的なボリュームや進捗ペースについては詳細な数値が明かされておらず、どの海外カストディアンが保管残高を減らしているかも不明だ。そのため、現時点のデータが示すのは本国回帰の明確な方向性だけであり、詳細な進行マップではない。近年のイラン紛争に伴う金相場の短期的な下落といったボラティリティも、超長期的な視点で行われる中央銀行の準備資産構成や金庫選定の意思決定を揺るがすには至っていない。
市場にとって留意すべきは、金の「積み増し」と「自国保管」は別々の決定であるという点だ。既存の預託分を動かさずに新規購入を増やすことも、大口の買い手にならずに保管網を組み替えることもできる。それにもかかわらず、双方が同時に志向されている事実は、金が単なるポートフォリオの分散先を超え、保有量だけでなく「保管場所」のコントロールをも含めた戦略的資産として重視されている証拠と言える。危機時のアクセスや制裁リスクへの警戒を直接の原因と断定するには根拠が不足しているが、中央銀行がリターンとレジリエンス(危機耐性)を天秤にかける中で、金が議論の中核にあり続けることは確実だ。
2026-06-17T08:00:51.541542+00:00 UTC 公開
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